今日(4/1)も新リリースあり。v2.1.89が出ており、Defer権限判断という地味だが実務に効く追加がある。あわせて、ここ数日で詳細が見えてきたAgent TeamsとCode Review(GitHub PR自動レビュー)も整理しておく。
1. v2.1.89 — 今日リリース(2026-04-01)
GitHub Releases · anthropics/claude-code
新機能:「Defer」権限判断
PreToolUse フックに defer という選択肢が追加された。ヘッドレスセッションでツール呼び出しを一時停止し、-p --resume で再開したときにフックを再評価できる。
つまり「今は判断できないので後で人間が決める」という選択肢が生まれた。CI/CD パイプラインで危険な操作だけ人間の承認待ちにするようなフローが作りやすくなる。
// .claude/settings.json
{
"hooks": {
"PreToolUse": [
{
"matcher": "Bash",
"command": "node check-danger.js",
"defer": true
}
]
}
}
defer が true を返すと -p --resume で再開できる。
Named subagents が @ メンションに表示
@ メンション補完に名前付きサブエージェントが表示されるようになった。Agent Teams(後述)と組み合わせて、特定エージェントをメンションして直接指示を送れる。
MCP_CONNECTION_NONBLOCKING=true(-p モード向け)
ヘッドレス(-p)モードで MCP 接続の待機をスキップできる。合わせて --mcp-config のサーバー接続が最大5秒でタイムアウトするようになり、応答の遅い MCP サーバー1台に引きずられてセッション全体が固まる問題が解消した。
export MCP_CONNECTION_NONBLOCKING=true
claude -p "タスクを実行して" --mcp-config ./mcp.json
主なバグ修正
- シンボリックリンクを含むパスの allow ルール(
Edit(//path/**)など)が、リンク先ではなくリンク自体を検査していたバグを修正 - macOS Apple Silicon での音声モードがマイク権限をリクエストしなかったバグを修正
- Windows Terminal Preview 1.25 で
Shift+Enterが改行でなくサブミットしていたバグを修正 git pushの stderr 出力を PowerShell が失敗と誤判定していたバグを修正- 1 GiB超の巨大ファイルを Edit したときのメモリ不足クラッシュを修正
2. Agent Teams — 複数の Claude が協調して作業(実験的)
Orchestrate teams of Claude Code sessions - Claude Code Docs
v2.1.32(2026-02-05)から導入されている実験的機能。有効化すると、複数の Claude Code セッションがチームとして協調作業できる。
サブエージェントとの違い
| サブエージェント | Agent Teams | |
|---|---|---|
| コンテキスト | 親セッション内で実行 | 独立した 1M トークン環境 |
| 通信 | 親に結果を返すだけ | エージェント同士が直接メッセージ |
| 並列性 | 親が仲介 | タスクリストで自律的に分担 |
有効化方法
// .claude/settings.json
{
"env": {
"CLAUDE_CODE_EXPERIMENTAL_AGENT_TEAMS": "1"
}
}
Opus 4.6 以上が必要。Opus は高コストなので、試すなら小さなタスクから。
実績:16エージェントで C コンパイラを自作
Anthropic 内部の実証実験として、16エージェントに Rust 製 C コンパイラ(Linux カーネルをコンパイルできるレベル)をゼロから書かせた。2,000 近い Claude Code セッション、API コスト約 $20,000 で 10 万行のコンパイラが完成し、x86・ARM・RISC-V でビルドが通ったとのこと(詳細記事)。
実際の業務での推奨チーム規模は 3〜5 エージェント。5 を超えると通信オーバーヘッドが指数的に増える。「フロントエンド担当 + バックエンド担当 + QA担当」の3名チームがオーソドックス。
既知の制限
/resume・/rewindはチームメイトを復元しない(再起動後はリードに「新しいチームメイトを生成して」と伝える)- タスク完了のステータス更新が遅延することがある
- リードセッション 1 つにつきチームは 1 つまで
3. Code Review — PR を AI エージェントが自動レビュー
Code Review for Claude Code | Claude
2026-03-09 にローンチ( research preview、Team・Enterprise 向け)。PR が開かれると複数のエージェントが並列でレビューし、インラインコメントで結果を返す。
仕組み
- PR 作成と同時に 4 エージェントが並列起動
- 各エージェントが独立してバグ・セキュリティ脆弱性・エッジケースを探索
- 確実な問題だけを報告(誤検知は無視)
- PR に高レベルサマリー + インラインコメントを投稿
- PR の承認・ブロックはしない(既存のレビューフローを壊さない)
レビューの量は PR の複雑さに応じてスケール。小さな変更なら軽め、大きな変更なら深め。
効果(Anthropic 社内計測)
| 指標 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 実質的なレビューコメントがある PR | 16% | 54% |
ベテランエンジニアが 30〜60 分かけていた初回レビューが 5 分未満で完了。人間のレビュワーはアーキテクチャ・ビジネスロジックに集中できる。
コスト
PR のサイズ・複雑さに応じて平均 $15〜25 程度。軽量な Claude Code GitHub Action より高いが、その分深さが違う。
実行タイミングの設定
GitHub App を入れて Claude Code 設定で有効化後、リポジトリごとに以下を選択できる:
- PR 作成時のみ — 1 回だけ実行
- プッシュのたびに — ブランチへの push のたびに実行
- 手動 — PR に
@claude reviewとコメントしたときだけ
4. Enterprise Analytics API — Claude Code の利用状況を API で取得
Claude Code の利用状況・コスト・生産性指標を API 経由で取得できる Enterprise Analytics API が追加された。組織単位・日次で集計されたデータが取れる。
FinOps チームやプラットフォームエンジニアが Claude Code のコスト配分を追跡するようなユースケースを想定している。
5. Claude Haiku 3 廃止予告(2026-04-19)
claude-3-haiku-20240307 の退役が 2026-04-19 に決定。あと18日。
使用中の場合は Claude Haiku 4.5 へ移行を。コーディング・Computer Use・エージェントタスクで Sonnet 4 相当の性能があると Anthropic は説明している。
今日のまとめ
| トピック | 状態 | 概要 |
|---|---|---|
| v2.1.89 | ✅ 正式リリース | Defer権限・named subagents・MCP非ブロッキング |
| Agent Teams | 🧪 実験的 | 複数Claudeが協調・直接通信 |
| Code Review | 🔬 リサーチプレビュー | Team/Enterprise向けPR自動レビュー |
| Enterprise Analytics API | ✅ 提供中 | 利用状況・コストの日次集計 |
| Haiku 3 廃止 | ⚠️ 4/19予定 | Haiku 4.5 へ移行を |
v2.1.89 の Defer 権限と Agent Teams の組み合わせで、「危険な操作は人間が承認するが、それ以外は複数エージェントが全自動で処理する」という本格的な自律ワークフローが実現しつつある。コストと安全性のトレードオフをどう設計するかが、これからの実装の焦点になりそう。
参考ソース: