ソースコード流出の話題で持ちきりの今日だが(別記事参照)、今週のClaude Codeはプロダクトとしても大きな前進を見せた週だった。v2.1.86〜88の3リリース、Auto Mode、Computer Use on Mac、Cloud Auto-Fix——それぞれ実務への影響が大きいものを中心にまとめる。
1. v2.1.88 — 今月最大の41変更リリース(2026-03-30)
GitHub Releases によると、v2.1.88 は今月最も変更量の多いリリース。主要な追加・修正を抜粋する。
新環境変数・フラグ
CLAUDE_CODE_NO_FLICKER=1
ターミナルのちらつきを抑えるアルタースクリーンレンダリングを有効化。vim や htop のようにターミナルのバッファを使う描画方式に切り替わる。VS Code 統合ターミナル・tmux・iTerm2 で特に効果的。
export CLAUDE_CODE_NO_FLICKER=1
CLAUDE_CODE_SUBPROCESS_ENV_SCRUB=1
サブプロセスの環境変数から Anthropic と各クラウドプロバイダーの認証情報を取り除く。エージェントがシェルコマンドを実行するときのクレデンシャル漏洩リスクを軽減できる。
CLAUDE_CODE_DISABLE_CRON
セッション途中でスケジュールされたcronジョブを止める環境変数。
新ホック:PermissionDenied
Auto Mode(後述)が操作を拒否したとき、その後処理を自分でハンドリングできるようになった。
// .claude/settings.json
{
"hooks": {
"PermissionDenied": [
{
"command": "echo '{\"retry\": true}'"
}
]
}
}
{retry: true} を返すとモデルに「リトライしてよい」と伝えられる。
/plan コマンドの改善
/plan fix the auth bug
説明を引数として渡せるようになった。プラン作成と同時に作業を開始できる。
その他の注目修正
- Windows CRLF 二重化バグ修正 — Edit/Write ツールが CRLF を二重に付けていた問題
- StructuredOutput のスキーマキャッシュバグ修正 — 複数スキーマを使うワークフローで約50%の失敗率があった
- 長セッションでの prompt cache ミス修正 — ツールスキーマのバイト列が変化してキャッシュが効かなかった
- WebFetch が
Claude-Userを名乗るように — サイト運営者が robots.txt で Claude Code トラフィックを識別・許可できる
v2.1.86(2026-03-27)の注目点
X-Claude-Code-Session-Idヘッダーを全APIリクエストに追加 — プロキシ経由でもセッション単位で集計しやすくなった.jj(Jujutsu)・.sl(Sapling)をVCSディレクトリとして除外 — Grep や補完が余計なファイルを見に行かなくなった--resumeのバグ修正(v2.1.85以前に作成されたセッションで失敗していた)- Read ツールがコンパクトな行番号フォーマットを採用 — トークン消費が減少
/skillsメニューがアルファベット順にソートされるように
2. Auto Mode — モデルが自分で権限を判断する(2026-03-24)
SiliconANGLE が報じた通り、Claude Code に Auto Mode が追加された。
これまではツール呼び出しのたびに「承認しますか?」と聞いてくる設定が主流だったが、Auto Mode ではAIによる権限分類器がバックグラウンドで動き、安全な操作は自動で通過、危険な操作はブロックする。
- Sonnet 4.6 / Opus 4.6 で動作
- トークン消費・コスト・レイテンシへの「若干の影響」はある(Anthropic公式注意書き)
- サンドボックス環境での利用を推奨
- v2.1.88 の
PermissionDeniedホックと組み合わせることで拒否時の動作をカスタマイズ可能
# Auto Modeで起動
claude --auto
エージェントを長時間走らせるユースケース(夜間バッチ処理など)で有効。ただし全自動ゆえに意図しない操作が走るリスクもあるため、最初はサンドボックスで試したほうがよい。
3. Computer Use on Mac — ClaudeがMacを直接操作(2026-03-23〜24)
claude.com/blog によると、Claudeがあなたの Mac デスクトップを操作できるようになった(研究プレビュー、Pro/Max向け)。
- アプリを開く、ブラウザ操作、スプレッドシート入力、マルチステップ処理を自律実行
- API が存在しないツールも、人間と同様の画面操作でフォールバック
- Dispatch と連携:iPhoneからタスクを送り、Macで実行(リモコン型)
- OSWorld スコア:72.5%(2024年の15%未満から大幅向上)
- 2月に買収した Vercept AI(デスクトップ自動化スタートアップ)の技術を統合
注意点:
- まだ「research preview(研究プレビュー)」段階
- サンドボックス環境での使用を推奨
- プロンプトインジェクション対策、新規アプリアクセス前の確認などの安全策は入っている
Windows版は後日提供予定。
4. Cloud Auto-Fix — PR のその後もClaudeが面倒を見る
Web・モバイルセッションが PR をフォローし続け、CIの失敗修正や PR コメントへの対応をクラウド上で自動実行する機能が追加された。
自分でCIを見張らなくても、気づいたときには対応済みの PR が手元に届いている——というワークフローが実現する。Claude Code の役割がコード生成から「PR ライフサイクル全体の管理」に拡張されつつある。
5. SDK アップデート(v2.1.87, 2026-03-29)
getContextUsage()— コントロールメソッドとして追加。カテゴリ別にコンテキストウィンドウの使用量を取得できるsession_idがSDKUserMessageでオプションに変更- TypeScript の型が
anyに解決されていたバグを修正
SDK を使ったエージェント開発をしているなら、getContextUsage() は特に有用。どのカテゴリがトークンを食っているか把握してコスト管理できる。
今週のまとめ
| リリース | 日付 | ハイライト |
|---|---|---|
| v2.1.86 | 3/27 | セッションIDヘッダー、VCS除外、Read最適化 |
| v2.1.87 | 3/29 | SDK getContextUsage() 追加 |
| v2.1.88 | 3/30 | 41変更・NO_FLICKER・PermissionDeniedフック |
| Auto Mode | 3/24 | AI分類器による自律的権限管理 |
| Computer Use on Mac | 3/23〜 | ClaudeがMacデスクトップを直接操作 |
| Cloud Auto-Fix | 3月末 | PRのCI失敗・コメント対応を自動化 |
大型機能が週をまたいで立て続けにリリースされており、Claude Code がただのコーディングアシスタントから本格的な「自律エージェント」へ変化するスピードが加速している。
参考ソース: